• 平成26年版 商業・法人登記実務相談事例1000問+400
  • 掲載相談例
  • 掲載相談例:吸収合併について
  • 質問 ・・・ 兄弟会社の株式会社同士の吸収合併についての質問です。
  •  資本金9,000万円の乙が消滅会社となり、合併に際し存続会社甲の資本金4,000万円を増加します。
     資本剰余金の増加はなし、資本剰余金の増加は甲が定める、と合併契約書に記載されています。
     この場合に
    ①「資本金の額の計上に関する書面」の中の、株主資本等変動額(規則35条1項)の金額は9,000万円で宜し
      いでしょうか。
    ② 登記の添付書面に、資本剰余金の増加額について決定した甲の株主総会議事録が必要でしょうか。
     749条1項2号イの「準備金に関する事項」とは、具体的金額でなくても良く、別途添付書類は不要だと考えますが正しいでしょうか。
  • 回答 ・・・ 本問については、当倶楽部商業法人登記総合研究5人委員会委員金子登志雄先生から、
         以下の回答をいただきました。
  •  株主資本等変動額というのは、存続会社の株主資本(純資産)の増加額のことですから、言い換えれば、ここでは合併効力発生日の消滅会社の「簿価純資産額」のことです。具体的な数値は登記時には不明でしょうから、概算額を記載しておけば十分です。ただし、株主資本等変動額を証明させる趣旨は、増加資本金額以上であることを証明させるものですから、4,000万円以上の数字でないと登記は受理されません。
     残りの金額のうち、いくらを資本準備金やその他資本剰余金に計上するかは登記事項ではなく、証明は不要です。

    登録免許税は0.7%ではないことにお気をつけください。

     なお、「資本剰余金の増加はなし、資本剰余金の増加は甲が定める」は「資本【準備金】の増加はなし、【その他】資本剰余金の増加は甲が定める」ではありませんか。また、749条1項2号イの「準備金に関する事項」としては、「資本準備金の増加額 0円、利益準備金の増加額 0円」と書くのが普通です。「利益準備金の増加額 0円」を書き洩らしても登記は受理されます。その他資本剰余金は、増加資本金額に計上した残りの額ですから、登記時には、具体的金額は不明です。