• 平成29年版 商業・法人登記実務相談事例2000問
  • 掲載相談例
  • 掲載相談例:医療法人の理事長の重任の取扱いの変更について
  • 質問
  •  理事A,B,C,理事長Aの医療法人において、理事の任期が平成30年3月31日に満了する場合に、例えば、3月10日に社員総会を開催して理事A,B,D(Cは退任)を予選した場合には、理事全員が重任でないため同日開催の理事会において理事長を予選することができません。そこで、4月1日に理事会を開催して理事長を選任することになります。
     ところが、この場合、理事長にAを再選しても、Aは、理事としては重任であるにもかかわらず理事長としては平成30年3月31日退任、4月1日就任になるとするのが従来の実務の取扱いです。しかし、全国に約53,000ある医療法人のうち約40,000が医師1人の医療法人ですから、理事長について退任・就任の登記がなされても、現実には理事長に変更がないのが実情で、理事長からは、強い不満が表明され、登記申請の代理人である司法書士としても、登記実務の取扱いには違和感がありました。
     ところが、今回、この場合に、「平成30年4月1日重任」の登記でも受理されることになったと聞きましたが、そのとおりでしょうか。
  • 回答
  •  平成29年6月号の登記研究の質疑応答7986号において、株式会社の事例について、重任で差し支えない旨の回答がなされました。登記研究の質疑応答は、法務省民事局商事課と意見調整をしていますので、実質、商事課の見解と考えて差し支えないと考えます。
     なお、この質疑応答の事例は、株式会社の代表取締役に関するものですが、当然医療法人の理事長の場合にも、適用されると考えます。ただし、何分にも商事課長通知ではないため、まだ全国の法務局には十分には周知されていないと考えますので、申請に際しては、登記官と事前に意見交換をされた方が、スムーズに処理されると考えます。