• 平成30年版 商業・法人登記実務相談事例2000問+200
  • 掲載相談例
  • 掲載相談例:種類株式
  • 質問
  •  創業者の死亡により現社長(長男)が全株式の半数を相続、残りを母親と長女が相続することとなりました。
     この後全員の同意を得て社長保有の株式以外の株式を無議決権化する予定です(離婚した前妻との間に未成年の子供あり)。
     この会社はかなりの価値の不動産を所有しているので社長が亡くなられたら会社を清算して残余財産を分配するつもりです。
     長女と母親は自己の所有する株式の無議決権化には同意していますが、社長が死亡した場合すべての議決権を未成年者の親権者に握られることを危惧しています。

    A種株式 普通株式
    B種株式 議決権を有しない株式

    B種株式の内容 A種株式の株主に相続が発生した場合は、B種株式の株主はすべての株主総会の決議において議決権を有する

     「有する」とすることは属人登記ではなく種類株式の内容であるので登記簿に記載できるものと考えますが、いかがでしょうか。
     更に高齢の母親には議決権を有しないC種株式を与えて社長が亡くなってもB種株式を所有する長女の議決権を復活させようかとも思いますが何か注意する点はあるでしょうか。
  • 回答
  •  このままでも登記は受理されるでしょうが、会社法の建前からすると、A種株主は1人とは限りませんので、「A種株式の一部又は全部に相続が発生した場合は」のほうがよいと思います。
     また、相続が発生した場合は50:50で支障が生じるでしょうから、相続が発生したらA種を無議決権にするとか、人的種類株式の定め(B種は1株に2議決権など)を置くとか、売渡し請求の定めを置いておくとか、一部を長女に遺贈する遺言書を書いてもらうとか、さまざまな方法が考えられますので、今回で終わりにせず、数年ごとに見直すことが肝要と思います。現社長が高齢になれば存明中に解散することも選択肢です (回答は当倶楽部商業法人登記総合研究5人委員会委員の金子登志雄先生です。)。