• 開業を経験された司法書士様の
    体験談をご紹介いたします。


  • 竹内 基晴 様
  • 『竹内総合事務所』
  • ■開業地:山口県山口市 ■合格年度:法務局OB ■継承年度:平成27年3月頃
  • 「お客様の為」を一番に考え、即行動!
    お客様の期待を上回る感動を!
  • はじめに先生のご経歴を教えてください。
  •  高校を卒業したあと公務員試験に受かり法務局に採用されました。私は山口県出身なのですが、幸運なことに勤務地も山口と広島のみと地元からあまり離れずにずっと勤務することができていたんです。ただ、いつまでもそこだけというわけにもいかず他の県への異動の話があり、よいタイミングだと思って退職しました。
     それが55歳になる歳の平成24年3月でした。それからいまの事務所に最初から事務所を引き継ぐつもりで入所して、3年ほどで完全に自分の名前で仕事をするようになりました。
  • 定年まで待たずに法務局を退職されたんですね?
  •  実は若い時から公務員は早く辞めて、この業界に入りたいと思っていたんです。再任用とか定年まで法務局にいようとはまったく考えていなかったんですね。理由はいろいろありましたが、たとえば窓口に来た方1人1人に対して本当に親身な対応ができない場合もあったり、組織に対して色々思うところが昔からあって、時期を見計らってこの司法書士業界に入ろうと決めていました。
     法務局では会計担当を長いことやっていました。当時は法務局の統廃合が多く、現場の整理だったり、地図情報や間接印鑑証明の導入時の調整をしたり、不動産のコンピュータ化において法務局内のノウハウを作って他のところと共有したり、と通常業務をしながらもこれからの法務局の事を考えて一生懸命にやってきました。いま思えば大変な時期でしたね。上司も評価してくれて嬉しかったこともたくさんありましたが、結果くたびれましたということです(笑)
  • いまの事務所に入所されたのはどういう経緯ですか?
  •  そもそもは法務局を辞める前にまずは自分でやるのかどこかの事務所に入るのかを考えてみたときに、どこかの事務所で勤務してみようと思ったんです。たまたま息子が勤めていた事務所が土地家屋調査士の事務所でしたので、そこに「就職したい」と話をしてみたんですね。そうしたら事務所の所長さんが「自分も60過ぎたからうちを継がないか?」と言われまして。事務所を継げば今までの地盤があるし、それは自分にとって好都合だなと思いました。元々調査士と行政書士しかいない事務所だったので、私は司法書士も持っているしその分仕事を広げていけるなとか考えていて、いまの事務所に入ったんです。
  • 入所後の状況はいかがでした?
  •  最初は合同事務所の形で入って、それから3年ほどして先代が引退されて自分が引き継いだんですが、引き継いだ当初は本当に大変でしたね。先代は40年近く自分でされていたので「竹内さんが入って肩の荷が下りた」と言ってくれましたが…。入所してからは調査士業務も行政書士業務も少しずつ私の名前で仕事をして徐々に増やしてきて、4年目ぐらいから軌道に乗った感じですね。経営がうまくいきだしたのは司法書士部門を作ったのもありますが、もともとのお客様に加え、新しいお客様にも1件1件丁寧に対応することで少しずつ信用を得てきたことや、リピーターではなくても、依頼を無事完了させた後に他の人を紹介してもらえている部分が大きいと思います。あとはそれ以外にも、近所の法務局OBの先生が事務所を閉めるときに自分の顧客に紹介状を書いてくれて、すべて引き継いでくれました。法務局時代に同僚だったというわけではなく、たまたまテニスで仲良くなった方ですが、私はそういう面では非常に恵まれていると思っています。
  • いまの事務所運営で工夫をされているところはありますか?
  •  まず、法務局時代になかなか徹底できなかった「1人1人に対して親身になって対応する」ことを徹底しています。また、信用を得るのはすごく時間が掛かりますが、信用の失墜は一瞬なのでそこは非常に気を付けてやっています。
     よく看板だったりHPやWEB広告を出さないのかと言われますが、そんなことをしなくてもこの6年間、親切丁寧に1件ずつ対応をしてきたことで、たくさんのお客様が私のところへ来てくれるようになりました。法務局のOB仲間からは「なんでお前はそんなに仕事が多いんだ?」と言われますが、それはお客様へ真摯に向き合ってお客様のことをしっかり考えて対応しているからではないかと自分では思っています。

    それと私には仕事の上で自分なりに考えて大事にしているモットーがあって
    ・今できることを後に回すまい
    ・今日できることを明日に持ち越すまい
    ・今できることは即行動しよう

     この3つを座右の銘として日々の業務では徹底しています。通れない道があるなら遠回りせず、今から道を開拓していこう、という気持ちですね。
     ちょっときついなっていう時って「明日にしよう」とか「明日でもよいですか?」とか言いたくなると思うんですが、私は「なんで今日できることを今日やらないの? お客様のためじゃないか」と思うようにしています。たとえば納品だったら登記手続きが終了したらなるべくその日に納品できるように整理してその日のうちに持っていきます。「もう出来たんですか?」と驚かれたりしますが、そういうのがやはりお客様へのあるべき対応だと思います
  • 先生の場合は既存の事務所を引き継がれましたが、
    最初にかかった費用はどれぐらいでしたか?
  •  既存の事務所だったので必要な機材は揃っていましたが、その機材関係のリースは私が引き継ぎました。それ以外には“権”を入れたぐらいじゃないかな。スタート段階ではそれぐらいですね。
  • なぜ“権”を入れようと思われたんですか?
  •  法務局OBで定期的な勉強会を行っているんですが、その席で“権”が良いぞという話になっていたんです。信頼できるみんながそう言うので最初から入れる気満々で、ソフトの中身を見ずに買っちゃいました。独立に備えて法務局時代から自分で書式の雛形をコツコツ作っていましたが、それらも結果的には“権”に取り込むことができたので、良かったです(笑)。
  • これから開業される方や退官の方へアドバイスをお願いします
  •  退官の先生に関しては、独立する気がないのでしたら再任用したほうがいいと思います(笑)。自分でやるのであれば、私のように他の事務所を引き継ぐのもアリだと思います。新しいところで一から自分で開拓するのは大変ですからね。うちは銀行からの指名がない代わりに紹介をしてくれるお客様がたくさんいらっしゃいます。そういうお客様をたくさん増やしていけるようにするのも一つの方法ではないでしょうか。忍耐強くやっていきましょう!
     あとは退職金は大事に使いましょう(笑)
     最後に、信用できる人はいいとしても、報酬は一見さんの場合は最初にもらっときましょう。おかげでうちはほとんどとりっぱぐれがありません。


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