• 開業を経験された司法書士様の
    体験談をご紹介いたします。


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  • 中川 貴史 様
  • 『なかがわ司法書士・行政書士事務所』
  • ■開業地:福井県敦賀市 ■合格年度:平成28年度 ■開業年度:平成30年度
  • 情報は待つものでなく掴むもの
    ニーズを顕在化する元学生起業家が考える司法書士の可能性と未来
  • 事務所名の由来はなんですか。また開業地を選んだ理由はありますか。
  • 地元の敦賀を出て大阪に20年近くいたので、ほとんど地元の友達関係なども切れてしまっていたんですよね。だから、開業にあたってまずは名前を覚えてもらうところから始めないとなと思って。敦賀には中川姓の司法書士は僕1人しかいないのもあって、名前を出すことによって、もしかしたらあの人かっていうこともあると思ったので、『なかがわ司法書士・行政書士事務所』にしました。

    大阪で起業して商売を20年やっていたので人脈はあったけれど、地元の敦賀では父や母がこれまで生きてきて築いた60年以上のつながりがある。2人合わせれば120年分です(笑)。大阪には他にもたくさんの先輩司法書士がいる中で20年の人脈を頼りに一から出発するのと比べたときに、地元で120年のつながりを活かして仕事できるのは、仕事を通じた故郷への貢献という意味でも、とても魅力的な選択でした。田舎の家の長男なので、両親の近くにいたいということもあり、そもそも司法書士になろうとしたきっかけもそのあたりに関係していたりもするので、迷うところはなかったです。
  • 司法書士を目指した目的、あるいはきっかけを教えて下さい。
  • 高校生のとき、経営者か司法書士になるという目標を掲げていたんです。結局、学生時代に起業して、経営者にはなりましたし、それなりに儲かったんですが、自分で稼いでいることもあって大学に行く必要を感じなくなり、中退してしまったんですね。でも、心のどこかで後悔していて。起業してみて、たまたま営業スキルはそれなりにあることがわかったけれど、きちんと経営のことは学べなかった気がしていて、先人が積み上げてきた学問としての基礎をほっぽりだして、センスだけでやっちゃうというのは間違っているなと思っていたんです。基礎となる勉学はしないといけないなと。ちゃんと向き合って、基礎を作った上で物を考えていく。そこではじめてセンスなり経験が生きてくるのではないかと。そういう経緯もあって、人生のやり残しが二つ自分の中にありました。ひとつは、起業に伴って中退した大学に、もう一度行って学ぶこと。それからもうひとつが、かつて目標に掲げていたもうひとつの選択肢である司法書士になること。世の中を良くしようみたいなことに、自分の意志次第でコミットしやすい職業である側面に魅力を感じていたし、さっきの地元に戻りたかったという部分も後押しして、司法書士を目指すことにしました。
  • 開業時の予算はどのくらいでしたか。予算内に収まりましたか。
  • 開業にあたっては貯金を使いました。事務所については外で物件を借りることから考えると、すぐにペイすると思ったので自宅の一部を事務所に改装したんですが、諸々かかったうち実家の修繕部分を除くと300万くらいですかね。学生時代の起業ではほとんどお金がかかっていなくて。というよりかけられなかったんです。だからというわけでもないですが、人生の新しいスタートを切るにあたって、システムや複合機の導入も含め、仕事に必要な部分にはきちんとお金をかけることは念頭にありました。
  • 開業時に工夫されたことはありますか。
  • 真剣に2年やって立ち上がらないものは絶対向いていないしやめたほうがいいと月亭八方さんが言っていたんですが、共感するんですよね。確かにいままで生きてきて、真剣に2年やって立ち上がらなかったことはなかった。だから、この仕事もまずはそこまで頑張りたいと思ってやっています。元々自分で起業して仕事していたことによるアドバンテージというか、どういうことをしていたらいずれ仕事が入ってくるというのは、開業時というよりも、合格して開業するまでの準備期間中からイメージ出来ていました。だから、開業時というよりも開業するまでの期間をどう使うか、という部分に気を配りました。

    最も注力したことのひとつとして、全青司だったり、他県も含めた青年会の研修会には開催地が遠方でもかなり積極的に参加しました。どこに行っても中川がいる、とよく言われたりして(笑)。そういう場に来られている人は志がある人が多いし、実務的なことは誰もが追求している中で、そこにプラスして今後の社会のこと、制度のこと、人権のことなど、普段業務でやらないところ、知識の追求をされている。そんな人達と議論が出来る。とても魅力的な場だと感じました。自分が仕事で関わる人たちの中に、潜在的なニーズがあったものを、自分が関わることで顕在化させ解決していく。司法書士に相談すれば解決すると気づいてもらえる。そういう仕事ができるための研鑽というか。そうやってつながった全国の司法書士仲間から情報が集まってくるし、こちらからも情報提供できる関係が、大切な財産になっています。今は開業もして仕事を軌道に乗せていくフェーズなので、少し遠のいていますが、また前のように全国的な活動をしていきたいですね。その時はまた見える景色が変わるんじゃないかなと思うんです。

    あと、普段の仕事の流れの中で、下請け的な感じにならないよう、顧客と同じ目線で仕事が出来るような意識は持ってやっています。だから、営業という感覚はないんです。挨拶に行って、一緒に仕事をやれる人かこちらも興味を持って近づいていくような感じというか。よく司法書士だから「先生」みたいに呼ばれることがあると思うんですが、僕は先生とはあまり呼ばれないです。決済なんかでも、不動産屋さんから「中川くん」と呼ばれたり。立ち位置が表れている気がします。仲間みたいな感覚。司法書士らしくない、とよく言われる。それはもちろん良い意味でだと思ってます(笑)。職務としての正確さ・厳密さは保ちながら、そんな風に仕事をしていくことは可能なんですよね。仕事を通じた関わり方にも、相談に対するビジョンの提示の仕方にも、差っていろんなところでつくはずで、そういうのって表には出にくいけれど、わかる人には伝わるというか。ゴールは同じでも、そこに至るプロセスの部分においても価値を提供したいと思いますし、関係性がそれらの要素を阻害することもあれば助長することもあるはずで、そういった視点は忘れないようにしています。ちなみにお客さんと飲みに行ったりはしません。誘われることもない。行くとしたら商工会とか団体の仲間的な付き合いでだけです。しっかりと仕事をして、その文脈の中で関係は深まっていくので、お酒の付き合いは必要ないんです。
  • 開業時の苦労話、または失敗談はありますか。
  • 苦労と思ってやってないので、苦労はしてないですね。開業時にはまったく仕事が見込めていないゼロからのスタートでしたが、開業祝い的に仕事をいただけたりして、最初はとても助かりました。困ってるとき、苦しいとき、誰かが助けてくれるというか。親離れしないといけないなと思うんですが、困って相談すると、元勤務先の先生が助けてくれたり。どうしようと思ったときに人が周囲にいて助けてくれる、話を聞いてくれる。仕事ないなと思ったら、仕事が入ってきたりする。関わるすべての人に感謝しかないですね。そうやってなんとか捨てる神あれば拾う神ありな毎日なので、あんまり苦労してる感じじゃないです。ただ疲れてるだけ(笑)。好きな仕事をやっているというのが大きいんでしょうね。疲れはするけど心が折れたことはないし、悩みはするけど悩むのも嫌いじゃない。どの選択肢を取るか選ぶだけ。なりたい自分に向かっていくだけなんです。
  • どうしてシステムの導入を決めたのですか。また導入して良かったことは何ですか。
  • 勤務先で別のシステムを使っていたこともありますが、司法書士業務を行う上でシステムを使うのは当然だと思っていたので、何かしらのシステムを導入しようとは考えていました。最終的に“権”にしたんですが、実はあんまり細かなところで比較して決めてはいないんです。どのシステムも良い部分はあるはずと思っているので、正直どれを選んだとしても、それを使って仕事にうまく活かせるだろうと。だから、強いて挙げるならリーガルの営業の方とのご縁的なものだったりだとか、そういう感じですね。でもいざ使い始めてみると、相関図の使いやすさだったりだとか、全般的に“権”は細部にこだわって開発されていると感じる。そんな細かく調べて使ってないけれど、使いながら徐々に知って感心していて、知れば知るほど“権”を選んで良かったなと思います。 開業後に全青司埼玉全国大会に行ったときに、前の事務所で使っていたシステム会社の営業さんに会って「開業されたんですね」と挨拶してもらったんですが、そのときは「すいません、裏切りました、“権”入れました!」と謝っときました(笑)。
  • これから開業される司法書士の先生方へメッセージをお願いします。
  • 試験に合格するのは大変だったと思います。それを努力なり運なりで合格した、しちゃった、でも全員そこがスタートなんですよね。これから、いろんな人を知れば知るほど、自分が井の中の蛙と思い知らされるはずです。たしかに難関と言われているものを突破して、多くの人の中を勝ち抜いて資格を取ったかもしれないけれど、これから住む世界はみんなその人たちの集まりなんだという意識、実はより厳しい集団の中に自ら入ってきたわけで、自分は最初その中の最底辺にいるんだという意識は大事なんじゃないかと思います。その上で、いろんな活動に参加して先輩の話に耳を傾けるなり、さらなる勉強を重ねるなり、どんどん自分を研鑽していくということが出来れば、気がついたときには、その中で一目置かれる存在になってたという状況になるんじゃないかと思うんです。

    その意味でも、情報が一番大事だと考えていて。普通に待っていたら流れてくる情報ではなく、自らいち早くつかまえにいく情報。そうやって他の人が知るより先に何かを考えられる時間こそが、自分の仕事というものを形作っていくんじゃないかと思います。自分の持っているものは当然活かしていくし、そんな中で他人がやっていないことを探すことも大事。そのためには、人とつながることが大事だと考えていて、特に新人のうちは同期だけじゃなく先輩とつながること、青年会や全青司に入って頑張ってみるのも良いと思います。そういった活動に対して消極的な意見も耳にしますし、目先の生きていかないといけない部分とのバランスはあると思うけど、せっかく司法書士になったからにはという部分で、わざわざ限定して考えずにもう少し視野を広げて、一度は体験・経験してみる。人の話を鵜呑みにせず、自分の目で確かめてみる。それでダメなものはダメ、取り入れるものは取り入れる。自身が先入観をもって物事を見ているのに、お客さんに対して客観的な意見が言えるはずもないですし。20年後の司法書士制度が一体どうなっているのかというのを見据えた上で、今自分たちに何が出来るのかを考えるのが全青司だと思っていますが、そういう意識があるかないかで先々の仕事は大きく変わってくるはずです。

    ※本インタビューは令和元年に行いました。現在中川先生は、開業2周年を迎え3人体制で活躍されています。


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