開業を経験された司法書士様の
体験談をご紹介いたします。
- 事務所名がひらがなですが、何か意図といいますか由来はありますか。
- まずは親しみやすさというものを意識しました。小林って漢字で書くとなんかありふれているので、ひらがなにしてみたらどうかと思いまして。あとは地名とかではなく、自分自身の人柄を表現するために事務所名は名前にしたいというのはありましたね。
- 人柄を表現というところは、それこそ先生の人柄がよく出ていますね(笑)。では事務所の場所ですけれども、ここ埼玉県草加市で開業された理由はなんでしょうか。
- ここは妻の実家が近いんです。地域のつながりで色々とお世話になっていることも多いので。あとは「歌」のつながりですね。実は私、司法書士になる前はフリーで声楽の活動を行っていたんですが、その声楽の活動でこの地域とつながりができたんです。で、その時にこの地域の司法書士の先生に司法書士をやってみないかと勧められたのが資格を取ったきっかけだったこともあって、開業するならこの土地かなと思いました。
- 声楽ですか!また今のお仕事からはイメージしにくいですね。声楽家から司法書士への転身というのも思い切りましたね。
- 声楽の活動を行っていたときに知り合った今の妻に司法書士を目指そうと思ってると相談したところ、やるならしっかりと勉強して、腰を据えてやれと言われました。「私は歌だけやっている人とは結婚しない!」とも言われていたのでやるしかないなと(笑)。
- 素晴らしい奥様ですね。その強い後押しがあって今の先生がいらっしゃるんですね。それでは話題を変えて、こちらの事務所は随分ゆったりとしたスペースになっていますね。
- そうですね。開業の際に他にも色々見てはみましたが、駅前はここより狭くて高いので、それよりも広さがあってコストも抑えられるこちらの物件にしました。今後のことも考えるとある程度のスペースは必要かと思いまして。
- その「今後のこと」についてお聞きしたいのですが。
- 今は一人でやっていますが、人を増やしていきたいと思っています。そのために広めの事務所を借りている訳ですし。人を入れる際には人柄はもちろんですが、前向きに勉強する意識を持った方と一緒にやりたいですね。
- 事務所の物件探しも含め、開業時のご予算はどのくらいを想定されていましたか。
- 一応開業準備として200万程度を想定していました。まあなんだかんだとオーバーしましたけど。
- オーバーというと予想外の出費があったとか。
- そうですね、値段不相応なものを購入したわけではありませんでしたが、全部やってみると意外にかかったというところでしょうか。看板やホームページなんかも知り合い価格でやってもらっても、結構かかりましたしね。
- 開業準備で何か気を付けた方がいいことや、ああしておけばということはありますか。
- そんなに後悔したようなことはないですが、今後も考えると金庫はもう少し大きめか複数あった方がいいかもとは思いました。ちなみに金庫というと、最初のころ電池切れや接続不調で電子ロックが開かず、結構苦労させられました(笑)。
- 金庫が開かないって相当焦りますね…。他は特に問題はありませんでしたか。
- まあ後は気を付けるということではないのですが、開業当初は色々な営業さんが来て誘惑してくるので(笑)、最初のうちは一つ一つお断りするのも申し訳なくて。
- 私も同じ営業の人間なので耳が痛いですね(笑)。
- いえいえ“権”は元々入れたいなという希望はあったんですが、なんか高いイメージがあったので、少し先かなと考えていたんです。ですが開業キャンペーンというのをやってくれていたので、当初開業の予算に入れてはなかったものの、導入はしやすかったです。
- そのように言っていただけると本当にありがたい限りです。では開業後のお仕事の状況についてですが、いかがでしたか。
- 開業当初は仕事は正直あまりなかったですね。ただ以前勤めていた事務所から少し回してもらったりして、助けてもらっていました。
- 何か転機のようなものはありましたか。
- そうですね、最初の頃と違うのは、税理士の先生と知り合って仕事を紹介してもらったりすることが多くなったことでしょうか。他士業の先生方や各方面から色々とお話をいただいたりすることが増えましたね。以前地元の異業種交流会がありまして、そこで知り合った方からご紹介をいただいたりすることがあるので、そこが一つの転機だったかもしれません。
- 異業種交流会ですか。そういった集まりにはよく行かれるのですか。
- ええ、色々顔は出させてもらってます。例えば税理士事務所にいきなり「こんにちは~」って押しかけてもびっくりされちゃうじゃないですか。だからやっぱりそういった集まりに出た方が話しやすいですよね。他にも不動産屋さんの集まりとか、色々なところに顔出してます(笑)。そうすると何かあったときに、そういえば…って声かけてくれることもありますし。
- 先生は特にお話しもしやすいですし、コミュニケーションをとるのもお上手ですよね。
- そんなことはないです。僕はいつもフワフワしているだけですから(笑)。ただ昔先輩に「色々な人と知り合え、浅く広く付き合いを広げろ」と言われたことは強く印象に残っています。
- 確かに人脈作りはこのお仕事では非常に重要ですよね。勉強になります。それではその後実際お仕事を始めて、何か苦労話や失敗談があればお聞かせください。
- 失敗談ということでもないかもしれませんが、開業からずっと補正なしでやってきたのですが、先日、免許税の解釈の問題で補正になってしまいまして。勤務時代は人の書類をチェックしていたこともあり、内容の不備等に関してはありがたいことに身に染み付いているところはありましたが、一人で仕事をしていると、解釈の問題やちょっとした勘違いを訂正してくれる人がいないため、それが重なっていつか表面化するという怖さがありますね。
- 一人事務所ならではの悩みですね。では司法書士としてではなく、個人事業主としての立場ではいかがでしょうか。
- そういった意味では結構やらかしました(笑)。いきなり最初の賃料の翌月分を振り込みしなくてはいけないのを、引き落としされるものと思っていたら、督促が来ました(笑)。あと水道料金も引き落としと振り込みを勘違いして督促が来たり。とにかく支払い関係は慣れていないこともあって、最初は色々とやらかしましたね。
- それはまた…今後もお気を付けください(笑)。さてそれでは少しシステムのお話しを。ご導入のきっかけを教えていただけますか。
- これは以前勤務していた事務所で使っていたからですかね。先ほども言いましたが、そのうち入れたいと考えてはいましたが、売上が安定してからと思っていました。
- 予定より早めの導入となりましたが、早めに入れて良かった点はありますか。
- まずは仕事がスムーズにできること。これは今思うと自力でやっていたら相当大変だっただろうなと。あとは会計の部分で、見積書や請求書の発行と管理が助かってますね。これがないと自分では正直管理しきれなかったかもしれません(笑)。
- 便利にご利用いただいてありがとうございます。それでは最後に今後開業される方へ一言お願いできますでしょうか。特に先生は勤務経験者ということもありますので、その辺りも含めてお願いします。
- 人間なので色々なタイプがあると僕は思っています。勤めが向いている人もいればそうでない人も。自分は元々声楽の教師を目指していまして、一人で歌うのが楽しいタイプです。一時期非常勤で講師をしていたこともありますが、色々と組織で働くことに思うところはありました。自分がどのタイプか、養う家族がいるのかなどにもよりますが、もし一人でやる方が向いていると感じたなら、それはもう独立ですよ(笑)。
- 独立にあたってのいいタイミングなんかはあるのでしょうか。
- 個人的にはタイミングは早すぎるということはないと思います。自分がやるんだという覚悟と社会で一人でやっていけるだけのスキルがある程度身についたら、いつでもいいと思いますよ。
司法書士という仕事は社長や経営者層を相手にすることも多く、色々な会や集まりに積極的に参加することも含め、人間性というものが大きく問われる仕事です。僕は司法書士として「自制と客観性、常に品位を保持すること」が重要だと思っていますので、仕事をもらうために顔を売るというよりも、楽しんで交友関係を広めた結果、何かのタイミングで仕事につながるという方がいい結果を生むような気がしています。結局は何事も人付き合いなんですよね。皆さんも楽しく交友関係を結びつつ、頑張ってください。
- 色々と楽しいお話しをありがとうございました。
今後も小林先生のご活躍をお祈りしております。
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