開業を経験された司法書士様の
体験談をご紹介いたします。

- まずは司法書士を目指したきっかけを教えてください。
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私が中学生の時にHEROという木村拓哉さん主演のドラマがあったんですが、それを見て法律関係の仕事がかっこいいなって思ったんです。
ドラマ自体は検察官の話なので司法書士とは異なるんですけど、とりあえず法律関係がいいと思っていたので大学を選ぶときも法学部のある大学に進学したんです。
正直いうと大学では勉強よりもサークル活動に打ち込んでしまったので、大学3年生の秋にいざ就職活動するという時に、ようやく法学部だったら何ができるんだろうと真剣に考えました。
司法試験は自分には難しいなと思っていたので一般企業に就職することを考えたのですが、あまりピンとくるものがなくて・・・
それで職業図鑑のような本で調べた時に、法律関係だと裁判官や検察官、弁護士が載っていてその次にあったのが司法書士だったんです。「なんだこれは初めて聞いた」と思って読んでみたら、
〝まちの法律家〞と書いてあって、弁護士ほど敷居が高くなく身近な法律家とあったので、こういうのになりたい!とビビッときたのがきっかけです。
ちなみにその本には年収の目安が1,000万円と書いてあったので、そこにも魅力を感じました。(笑)
- 事務所名はどうやって決めましたか?
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事務所名は色々悩みましたね。自分の本名の「あおい」は、平仮名なのでやわらかい印象にもなるし読みやすいので使いたい!というのはありました。
でも「あおい司法書士事務所」がいいのか、行政書士もあるから「あおい法務事務所」もいいし、地元の「郡山」をつけるのかなど、とても悩みましたね。
〝司法書士〞と付けたいという気持ちもあったのですが、よくよく調べると他の地域に同じ名前の事務所がすでにいらっしゃったので、最終的に「あおい法務事務所」にしました。
- 開業地を選んだ理由を教えてください。
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受験中に、司法書士として開業するなら田舎であればあるほど幅広い業務でやりがいがあるということを受験指導校の先生から聞いていたんです。
私自身も司法書士が足りていない地域で役に立ちたいと思っていたのと、生まれ育った場所でこれまでお世話になった人に、恩返しできるかなという思いもありましたので、色々悩んだ結果、結局地元の郡山市で開業しました。
ただ、郡山って東北のなかでは結構都会の方なので自分が思っていた田舎の司法書士とはちょっと違う部分もありますが。(笑)
- どんな想いを持って開業しましたか?
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20代の早い頃から、女友達から離婚や慰謝料請求などの相談を受けることが度々あり、女性はこういった相談を男性よりも女性にするほうが当然話しやすいだろうなと思っていました。
司法書士は、女性が増えてきたとはいえ私の地元ではまだまだ少ない状況なので、主に悩めるママの力になりたい、気軽に相談できる相手になりたいという思いが強かったです。
司法書士業務として離婚関係の相談で役立てたことはまだ多くはありませんが、その他の業務でも女性の相談者の方から話しやすくてよかったという声をいただき、一定のニーズは感じているところです。
- 開業時の苦労話や失敗話はありますか?
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修業先の司法書士事務所で勤務していた時に、見積書とか請求書、事務所の経理関係のところをほとんど見ていなかったことが悔やまれますね。
事務所を経営していく上で大事なところだったのに、観察力が足りなかったなって後からいろいろ気づかされました。
開業後しばらくは見積依頼が来た時に、この金額じゃ高いかな千円下げようかなとか、それだけで平気で1時間くらい悩んで・・・(笑)
先輩方からは最初はみんなそうだよって結構言われるんですけど、もう少し業界や地域の相場だったり、自分の中での基準を固めておけばよかったと思いました。
あと、休むタイミングを逃してヘトヘトになったことですかね。開業したら24時間仕事だって、すごく張り切っていたんです。
最初から意外にお仕事のご依頼があったので忙しくって、いつ電話があってもいいように昼食も食べずに仕事してたんですよ。
また、仕事ではないのですが事務所の備品を整えたりこだわりだすと、なんやかんややることがあって夜も遅くまで事務所にいることが続いていましたね。
自由でストレスフリーになったかと思っていましたがお肌は荒れてました。いまはそれを反省してお昼はちゃんと食べよう、休む時は休もうと思って、メリハリをつけれるようになってきました。
- 開業の予算はどれくらいでしたか?
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結果的には300万円くらいかかったのかな。資金については、ありがたいことにすべて両親から支援してもらい、いずれ返す予定です。他の事務所に比べたら
あまりお金をかけていないのかもしれませんが、予想外の出費としてはロゴが10万円、看板が10万円、椅子が一脚6万円くらいかかりましたね。思っていたよりも大きな出費でした。
- ちなみに開業後のお仕事は順調でしたか?
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1年目にしては順調だったと思います。 開業してすぐに、地方銀行や信用金庫の各支店にあいさつ回りに行き、その時の担当者の方からまずは抵当権抹消、徐々に住宅ローンや会社関係の登記のご依頼をいただけるようになりました。
あいさつの際に顔写真入りの名刺に添えて、簡単なプロフィールを書いた紙も渡すことで親近感を持ってもらえたのかと思います。
また、地元なので、開業前から友人のつながりや地域活動でのつながりを大切にしていたこともあり、ご紹介でのお仕事もほぼ途切れることなくありました。
受験勉強を始めてから合格までに9年かかっているのですが、それも準備期間だったと思うことにして、すべて活かしています。
- 業務用システムはどのように決められましたか?
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新人研修の時にシステム会社各社のパンフレットをもらったり、リーガルさんの開業虎の巻を読んで参考にしたり、同期や独立した先輩にどのソフトを使ったらいいか聞いたりして決めました。
勤務時代に使っていたソフトは、他社製のソフトだったのですが書類作成中心で顧客管理がきちんとできていなくて、名前を言われてもすぐに調べることができなかったんです。
やっぱりちゃんと人とのつながりを記録、登録して検索ができるようにしたいと思っていたので、それがきちんとできる〝権〞に決めました。
あと〝権〞が業界で一番使われているというのも大きかったですね。信頼できるだろうなって思えました。
- 最後にこれから開業を検討されている方へ先輩からのメッセージをお願いします。
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仕事面とプライベート面の二つあるんですけれどもいいですか。(笑)
まずプライベートのほうから言うと、開業前にやりたいことはやっておいたほうがいいと思います。私は前の事務所を辞めた後2カ月間、一人で世界一周の旅に出ました。
バックパッカーに近い感じです。それは開業したら長期の休みがとりにくいだろうなって思ったのと、実際に仕事を始めたらいろいろな責任が伴ってくるので、
冒険するなら何のしがらみも無い開業前のタイミングしかないと思ったんです。開業後にあれやっておけばよかったなって後悔が残らないようにしてほしいですね。
仕事面は、やっぱり一人ではやっていけないので、人とのつながりを大事にしてほしいですね。事務所にずっと一人で閉じこもって書籍だけ読んでもうまくいかないと思います。
まずは研修で苦楽を共にした同期との横のつながり、そして、地元の支部、青年会など縦のつながり。あとは他士業、他業種の方もすごく力になりますよ。
私の場合は身近なところだと税理士、社会保険労務士の知り合いに気軽に専門分野の相談ができてすごく助かっているんです。そういう様々なつながりがあると、そこでの情報共有、交換ができるので重要だと思います。
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