• Special Interview
  • 「新米司法書士はるかの事件ファイル」著者の司法書士近藤誠先生が語る
    現役司法書士が小説を通じて伝えたい想いとは?
  • 学歴:


    職歴:




    著書:



    司法書士
    会務等:
  • 1992年3月明治大学法学部法律学科卒業
    2004年3月一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース修士課程修了 修士号取得(経営法)
    1992年4月セイコー電子工業株式会社入社(法務部 勤務)
    1995年5月セイコー電子工業株式会社退社
    1996年10月司法書士試験合格
    1997年4月司法書士登録、開業
    「会社を経営するならこの一冊(共著)」(自由国民社) / 「不動産登記を見る・読むならこの一冊」(自由国民社)
    「新米司法書士はるかの事件ファイル」(自由国民社) / 「バーテンダー司法書士楓の事件ノート」(自由国民社)
    平成17年度、18年度 法務省 司法書士試験委員 日本司法書士会連合会 裁判事務推進委員会委員
    平成22年度、23年度 東京司法書士会 綱紀調査委員会委員 法務省 人権擁護委員
  • 人生で一番身近な法律家である司法書士という名前をもっと知ってもらいたい。
    司法書士という仕事に誇りをもってもらいたい。
    現役司法書士である近藤誠先生が思う司法書士の仕事とは。
    これから司法書士業界で走り出す新人司法書士や
    事務所開業を検討している司法書士に向けて熱い想いを語っていただきました。
  • 公認会計士や行政書士、ドラッカーなどの堅い内容の本を、女子大生や女子高生といった女の子を主人公にすることが一時期ブームになりましたよね。私も読んだんですが、とても読みやすいし、コンセプトが優れてるなと思ったんです。そこで司法書士版はないかなと思って探してみたのですが、やはりないんです。

    前々から我々司法書士は自分たちをPRするのが本当に下手だなということは感じていまして、司法書士という職業や仕事内容を知らない人が多いというのは、この仕事をしていてとても残念に思っていました。

    そこで僕自身、昔から小説を読むのが好きで、一度は自分の名前で小説を出してみたいという夢を持っていましたので、じゃあ自分で司法書士が主人公の小説を書いてみようと思ったのがきっかけです。
  • いろんな士業(サムライ業)があるなかで、僕は司法書士が一番市民に近いところにいると思っているんです。家を買う、住宅ローンを借りる、不動産を相続する、など誰の人生にも司法書士に仕事を依頼する機会があると思います。でも、それほど身近なところにいるにも関わらず、司法書士さんは何をやってるのか良く分からないと言われてしまうんです。それはやはり、僕らがこういう仕事をしてるんですよ、なにかあったら相談して下さいね、ということを自分たちからどんどんアピールしていかなければいけないと思うんです。

    これまでドラマや小説などに司法書士が登場しないというのも「絵になりづらい」というのと「一般の方にイメージがわきづらい」というのがあると思うんですね。司法書士は弁護士のように法廷に立つわけでもないですし、税理士のように電卓を叩くわけでもない。ただ書類を触っているイメージで絵にならないのかな…。とは思いますね。
  • そうですね。ただ書類を触っているだけじゃないんだよと(笑)
    そこで小説を書くときに気を付けたのが、読みやすいようになるべくわかりやすい言葉で書こうと思ったのと、本当の司法書士の姿を書こうと思ったんです。司法書士以外の人が書くとどこか嘘っぽくなるというか、本当はこんなんじゃないよと同業者が思うようなものは絶対に嫌だったので。我々司法書士が毎日毎日、日常的にやっていることをそのまま書こうと思ったのと、司法書士が依頼者のために役に立とうと思って、どんな気持ちで仕事をしているかということがなるべく伝わるように心掛けました。
  • まず内容としては、立ち合い・相続・債務整理・会社・成年後見というように司法書士が行っている大きな柱を網羅するようにしました。それでその仕事の中から実際に私が依頼者と接して大きく心が動かされた案件を題材にして、他の案件なども織り交ぜながら物語として組み立てました。
  • そうですね、もちろん一般の方々に読んでいただきたいですが、受験生とこれから仕事をしていく司法書士にも読んでいただきたいです。受験生の場合、司法書士の実務を正確に理解したうえで受験してほしいんです。青春の何年間を受験に捧げたあとにこんなはずじゃなかった!と思うことがないように是非知っておいていただきたいと思います。

    あとは僕ら司法書士自身が自分たちの仕事って退屈な書類仕事って思っちゃってる所もあるんじゃないかなと。でも相続のことだったり債務整理もそうですけど、人の一生に大きく係わる時にお手伝いをするのが司法書士の仕事なので、打ち合わせをしていて涙が出ちゃうようなこととか、依頼者のことが心配で心配で片時も頭を離れない、なんていうことがしょっちゅうあるんです。そう考えると司法書士は物語にもならない退屈な仕事ってわけではないと思うんです。これから司法書士を目指す方々には希望を持って仕事をしてもらいたいです。
  • “はるか”ちゃんのイラストは僕もとっても気に入ってて、自分がイメージしていた通りに描いてもらえました。

    登場人物のモデルですが、自分の回りの人というわけではないんです。最初に出版社と打ち合わせたときに芸能人だったらということで決めたのが“はるか”は戸田恵梨香さん。前に出ていた銀行のCMのイメージが残ってたんですね。あと“まりこ”は元AKBの篠田麻里子さんですね。他の人物もモデルを決めたんですが、男性は全然覚えてないです(笑)  書き始める時に出版社の方が戸田さんや篠田さんの顔写真を送ってくれたので、プリントアウトしてイメージしながら書いてました。書き始めると勝手にキャラが動いていくんですよね。今では登場人物みんなが自分の近い知り合いのような気持ちです。
  • 相続のエピソードかな。僕らの仕事の中でも必ずお客さんに会ってご家族のいろんな話を一つ一つ聞きながら進める仕事なので一番ドラマが多いですし、大切な家族が亡くなるということですから、色々なことがあるわけですよね。相続人ひとりひとりに想いがあるわけですし。

    あと最後の7章(それぞれの日々は続く・・・・・・)を書いたのは、司法書士の仕事はスポットで1回こっきりの仕事だけではなく、家を買いました→離婚しました→借金しました→認知症になりました→相続しますといったように人生の要所要所で司法書士が登場する・お手伝いするところがあるんですよね。ですから街の法律家ということで人の人生に寄り添って一緒に成長していくっていう仕事なんだと。同じ人がもう一度依頼に来る仕事なんだと。いうところを伝えたくて書きました。
  • 司法書士は登記や戸籍といった財産や個人を特定する大切なものに一番精通しているなくてはならない資格だと思うんですね。人の人生に深くコミットする仕事なのでやりがいもすごくあるし、自信を持って司法書士という仕事をしてほしいと思ってます。司法書士という仕事は必ず最後に感謝される仕事です。きちんと仕事をすれば、ありがとうございました。また何かありましたらお願いします。と必ず言われます。仕事の最大の報酬はお金ではなく感謝であるといいますが、だとすれば司法書士は最高の報酬が貰える仕事ではないでしょうか。
  • 地域に深く密着して、1人1人の人生に寄り添うということを意識してもらいたいですね。何か困ったことがあったときにパッと電話してくれるような地域の存在であり続けられれば、それが結局は自分の仕事ではなく他士業にお繋ぎするようなことでも、そうやって自分のことを頼りにしてくれる人を少しずつでも増やしていくことによって、結局は事務所の経営を安定させることにつながるのかなと。そういう想いでひとりひとりのお客さんと接することを大切にしてもらいたいと思います。

    何度もいうように司法書士というのは本当に仕事の幅が広いので、自分は債務整理だけとか後見だけとか分野を決めてしまって、その仕事はできませんというようなことがないような司法書士を目指してほしいと僕は思いますね。
  • 司法書士という職業は司法書士法で独占的に仕事させてもらっている職業です。その司法書士制度を生かすも殺すも一人一人の司法書士がどれだけ社会に貢献できるかにつきると思います。それが結局は司法書士制度の改善につながるんだという自覚を持って僕も仕事をしていきたいし、若い人にはそういう思いをもって仕事をしてほしいと願ってます。


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