司法書士のいま
～司法書士の最前線を取材しました～
商業登記のスペシャリストが語る
－成功している人と反対のことをやった結果、仕事の川上に立つことができた－
- 司法書士 泉水 悟 先生
- 泉水司法書士事務所 [兵庫県神戸市]
- プロフィール
- 昭和63年司法書士試験合格 / 平成元年1月大阪会登録 / 平成14年7月兵庫県会へ登録移転
簡易裁判所訴訟代理関係業務(司法書士法第3条第2項第2号)認定司法書士 - 主な会務経歴
- 元 日本司法書士会連合会 代議員
元 近畿司法書士会連合会 常任理事(広報部長) / 元 兵庫県司法書士会 常任理事(企画研究部長) 
- HP:https://www.sensui.info/
- 商業登記
- 仕事のとり方
- 仕事のつながり
- 今回は「商業登記のスペシャリスト」
兵庫県神戸市の泉水悟先生にお話を伺いました。 -
－泉水先生が司法書士事務所を開業されるまでのお話を伺います。
私は司法書士業界の前は印刷会社におりました。本当は広告代理店で仕事がしたかったのですが願いが叶わず、とりあえず広告業界に近い業界に入ろうと考えて印刷会社を選びました。印刷会社に入れば原稿の関係で広告代理店とコネができるかも、あとから広告代理店にアプローチできるかも、と思ったんですね。そこでしばらく働いていたのですが、これはどう考えても業種が違う、広告代理店に入るのは無理や。と気が付いて会社を辞めてしまいました。ただ辞めたタイミングが悪く就職の時期は終わっていたので、とりあえずアルバイトから入れる仕事はないかなと探して見つけたのが司法書士事務所でした。
－司法書士を目指してというわけでなく、アルバイトを募集していたのがたまたま司法書士事務所だったわけですね。
そうです、法律に興味はありましたが司法書士のことは何も知らずに入所しましてね。入って補助者として働いていたのですが、そこで気付いたんです。当時の話なのでいまは違いますが、この業界は資格を持っていないとまともに扱ってくれないと。それで司法書士の資格について初めて調べてみました。そうすると司法書士試験専門の受験学校があって普通はそこに行って勉強をするものだと知ったわけです。でも、当時の補助者って給料がほぼタダみたいなものでしたし、もともとお金があったわけでもないし、仕事を休むとさらに収入がなくなるので、結局きちんと受験勉強らしい勉強はできませんでしたね。
－ではどうやって資格を取られたんですか？
まずは補助者としての仕事をしながら実務を覚えました。昔は、手取り足取り教えてくれるなんてことはなかったので、事務所に置いてある本や資料を読み込んで実務をこなしていくわけです。特にその事務所は商業登記を中心に行っていた事務所でしたが、補助者の立場で確認すれば足りるのに興味本位でインタビューでもするかのように会社の業務についても表面的でなく深入りして話を聞いていたんです。自分が広告代理店に勤めたかったというのもあったし興味もあったからでしょうね。でも、結果として人間関係も深まり不動産の話や相続の話なども相談されるんですよね。そうなると喜んでもらいたい一心で相談の辺りを勉強する。それで一通り勉強したつもりでしたが司法書士試験は全く受かる感じもなかったですね。そうやって何年か実務経験を積んでいって、あれ、そういえば司法書士試験で実際どのようなところが出題されているかも分かってない、興味のあるとこしか勉強してないなと。そこで仕事が休みだった日曜日だけで試験問題を中心として全ての科目を全体として確認できるカリュキラムがあった学校を見つけて通いだしたら、その年度（昭和63年）の試験にまぐれで合格してしまったという感じです。受かる時って、そんな感じなのかもしれません。
－それで合格とはすごいですね
年数はかかってますから、それなりに整理することなく勉強はしていたのかもしれません。また、いま思うと、そんな状態で合格したからこそよかったと思えるところもあるんです。というのが、正直試験を合格した後の不安が半端でないほどありました。試験勉強をしている人だったら当たり前に知っている基本知識が自分には絶対的に足りていないと分かっているわけです。だから試験に受かってから本気で勉強を始めましたね。あと私は会員登録してほどなく支部での講師の真似事をやらせてもらうこともあって、正直合格したのも運ですし知識もないので、講習内容の裏付けのための勉強をしていましたね。
－ほどなく講師ですか
もう、数十年も前の事なので、それがいつだったかは覚えていません。私自身、商業登記の実務部分に関しては自信があったので、先輩の先生と商業登記の話をするときにああでもないこうでもないと自分の意見を伝えていました。それもあり、また、当時は人数の少ない支部に所属していましたから、新人にも何かさせてやろうという感じだったのかもしれません。最初はイジメかと不安になり、恥もかきたくないので、勉強が大変でしたね。たまにそのような機会をもらっているうちに次の機会までがだんだん早くもなり、結果、回数も増え、気がつけば本会でも、そして近畿でもとなっていきました。そうやって勉強した内容をもとに体系的に自分で本のようなものを作っていきました
